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●チャリオット(戦車)レース
ベン・ハーはローマ帝国の戦車レースを題材にした映画で、60年以上も前に公開されていながら、いまだに米国のアカデミー賞最多受賞の記録を保持しているというモンスター映画。古い方を先に見るべきだが、アマプラになかったので2016版を見ることに。
Qのもっとも偉大だと思う英雄は。初代ローマ皇帝オクタヴィアヌスなので、ローマ帝国は大好物なのだ。(ただしオクタヴィアヌスの死まで)
残念なことに、この映画には憧れの人オクタヴィアヌスは出てこない。
時は二代皇帝、ティベリウスだ。ちなみにティベリウスも出てこない(笑)
●あらすじ(ネタバレあり)
ローマの属州となったエルサレムで、裕福な家庭に育った若者(ジュダ)とローマ人の孤児として同じ家に育った若者(メッサラ)が家族で楽しく暮らしていた。当時、エルサレムではゼロテ派というローマ帝国の支配に抵抗するテロ組織が暗躍しており、後先考えない軽率なジュダは逃走したゼロテの一味を家にかくまってしまう。
メッサラはローマ軍に仕官しており、ユダヤ属州総督のピラトと行軍を行っていたところ、ジュダがかくまっていたゼロテ派の若者が、ジュダの家の屋根から総督を狙撃(しかも外す)。
ジュダにも犯人隠匿・反逆罪の嫌疑が掛けられ、一家は離散する。
その措置をとったのは義兄弟のメッサラであった。
ガレー船の漕ぎ手奴隷として5年の月日が流れ、ギリシアとの海戦で大敗したローマ軍からなんとか逃げ出すジュダ。
こんなはずじゃなかったのになー俺と思いながらメッサラを激しく憎むジュダ。
そんなこんなで逃げた先でチャリオットレースを生業にしている老人に出会い、チャリオットでメッサラと勝負することになる・・・というハートフル・ストーリー。
お気づきであろうか。
ジ ュ ダ が 悪 く ね ?
メッサラを激しく憎むジュダだが、もとはといえば軽率にテロリストであるゼロテをかくまったのが原因であり、この壮大な物語も結局は彼の浅はかさによるものであることが、映画を見ていてひしひしと伝わってきた。
テロリストは決して家に匿ってはいけないのだ。
いまの日本で言えば、県知事を暗殺未遂したやつをかくまうようなもんである。
リスクしかあるまい。
「いや、あんたの判断ミスが招いた悲劇やろ?」
となんども突っ込みたくなる。
可哀そうなのはメッサラ(と一瞬で殺された使用人)である。彼はいちローマ軍人として奮戦し、立派に職責を果たしていたにも関らず逆恨みされた兄弟によって、民衆の面前で恥をかかされ、たぶんローマ軍人としてのキャリアも断たれたのである。なんというメッサラ・・・。
それから、最後の大団円シーンで鐙らしきものが確認できるが、この時代(AC30年ごろと思われる)にはまだ鐙はない。
鐙は、馬上での姿勢保持に極めて重要な役割を持っており、これがないと足の力で馬をホールドしなくてはならず、そのような状態で武器を扱うのは至難だ。
故に騎馬戦闘は特殊技術であったのだ。ヨーロッパで鐙が確認されるのは7世紀というから、ジュダはオーバーテクノロジーを持っていたことになる。
なんだコイツ未来人か。
あと、キリストの受難がおまけ程度に語られている。こんに軽い扱いでええのかと不安になるくらいに。
というわけで、物語をなぞればなぞるほど「ジュダが悪い」と思えてくる映画でした。チャリオットレースのシーンはスターウォーズ・ファントムメナスにくりそつでした。ローマ軍の行軍はかっこよかったです!
次は原作を見てみないとね!!
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