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◆アントニウスとの対決
アントニウスと、オクタヴィアヌスは一時、同盟を結んでいた時期がある。カエサルを暗殺した下手人たちを相手とした戦いの最中である。
紀元前44年、現ギリシア領のフィリッピでカエサル派と反カエサル派は雌雄を決した。
アントニウスの活躍により、フィリッピの会戦はカエサル派が勝利する。
フィリッピの会戦で共同の敵を撃破したオクタヴィアヌスとアントニウスは、溝を深め、決裂は時間の問題となっていった。
アントニウスからしてみれば、長年、カエサルの元で各地を転戦し、勤めあげて来たのだ。そのカエサル亡きあとだから、自分が指導者になってしかるべきと思っていたに違いない。
ましてや、フィリッピの会戦での活躍である。ますますその思いを強めたのではないだろうか。
アントニウスは、ローマ世界の統治を西はオクタヴィアヌスに東はアントニウスが治めることを提案する。現在ではヨーロッパのほうが中東地域よりも経済力が強く、豊かになっているが、当時は逆であった。アントニウスはより豊かな東方世界を支配することで、オクタヴィアヌスに対して経済的に優位に立とうとしていたのだ。
また、上司カエサルが暗殺されたことで中断していたパルティア討伐にも東世界を収めているほうが、より有利である。パルティアの攻略がかなえば、カエサルの事業を継ぐ者として、オクタヴィアヌスを突き放すことができるからである。
だが、経済面、対パルティアでは劣っていても、西側には東側にない大きな利点が二つあった。
首都ローマが含まれること、ローマ市民兵を多く擁することから兵の質が高かったことである。
出典 Wikipedia
●アントニウスとクレオパトラ
ローマ世界の第一人者になっていたアントニウスにはクレオパトラ7世が同盟していた。上記のプトレマイオス朝である。クレオパトラはアントニウスにとっては、上司カエサルの愛人であった。
だが、クレオパトラは権力者アントニウスに巧みに取り入ることに成功する。
あるとき、アントニウスとクレオパトラは釣りに出かけた。
そのとき、どうやらアントニウスの釣果は良くなかったようだが、クレオパトラは彼にこういったという。
「魚を釣ることは漁師にお任せなさい。あなたが釣るのは都市であり国であり大陸なのですから。」
そののち、アントニウスとクレオパトラは結婚する。
アントニウスはオクタヴィア(オクタヴィアヌスの姉)を妻としていたが、離縁しての結婚であった。
しかも、彼女との間に出来た子供にローマ世界の東半分を与える声明を出したのだ。
ローマの領地は当然ながら公共のものである。
将軍が、自己の判断で勝手に贈与していいものではないのだ。
今で言うなら、日本の総理大臣が自分の子供に北海道を与えるようなものであろう。
出典:HBO公式HP 肌が褐色のおかっぱイメージだが、実はギリシア系
ローマ市民は激高した。(当たり前)
ここに、ローマ世界とアントニウスとの対決は決定的となったのだ。
つづく
参考
塩野七生「ローマ人の物語 ユリウス・カエサルルビコン以降下」
スエトニウス著国原吉之助訳「ローマ皇帝伝上」
ワーナー「ROME」
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