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無名の十八歳
無名の十八歳は、世界帝国の第一人者が凶刃に倒れたあと、遺言によって後継者に指名され、 後に帝国の最高権力者になった。
大叔父でありローマ市民の英雄カエサルによって後継者に指名されたときは、誰もその未来を想像できなかった。
むしろ「少年」とさえ呼ばれて侮りを受けていたという。
本名はガイウス・オクタヴィウス・トゥリヌス。
由緒ある騎士階級に生まれたが、元老院議員を務めていたことは分かっているが、彼の父が何を生業にしていたのかは正確には分かっていない。
そんな彼であるが、大叔父にあたるガイウス・ユリウス・カエサルの遺言によって後継者に指名されたところから、彼の運命は大きく回転し始める。
「ROME」公式HPより
後にアウグストゥス(ローマ帝国初代皇帝)と呼ばれるようになった彼の最終的なフルネームは、
インペラートル・カエサル・ディーウィー・フィーリウス・アウグストゥス
彼のアウグストゥス(尊厳者)というあだ名、インペラトール(最高司令官)という称号、そしてカエサルという家名が歴代ローマ皇帝の称号となる。
インペラトールはエンペラー(英語)に、カエサルはカイザー(ドイツ語)、ツァーリ(ロシア語)の語源となって現在でも「皇帝」の意味で使われていることから、ローマ皇帝が後世に与えた影響力の強さをうかがい知ることができる。
カエサル大叔父が暗殺によって突然いなくなってしまったこともあるが、弱冠十八歳にして空前の大帝国の第一人者の後継となったのであるから、その重圧たるや、凄まじいものがあったと思う。
そして、その重圧を跳ねのける、強烈で持続する意志なくしてはなしえない。
現代的に言うと、大企業の社長が急死してしまうが、社長の遺言によると何の実績もない親戚の大学でたての青年が後継者に指名されるようなものだ。不安視されてもしかたがないと思う。
しかも、彼の周りには後継者の座を狙うライバルや反対勢力など、多くの障壁が立ちふさがっていた。
強敵アントニウス
最大の障壁は、カエサル大叔父の下で長年軍功を重ね、カエサル暗殺の年には執政官にあり、三十八歳になっていたアントニウスである。
年齢的にも、経験的にも当時のオクタヴィアヌスをはるかに凌駕していた。(ただし、キケロには剣闘士並みと揶揄されていたりもする)
しかも、「カエサルの後を継ぐのは俺だ!!」とばかりにヤル気満々。
カエサルの遺産も名目上は保管だが、半ば強奪のような形で保持している。
「ROME」公式HPより
では、どのようにしてオクタヴィアヌスは強敵アントニウスや他の反対勢力を退けることができたのだろうか。
つづく
参考
塩野七生「ローマ人の物語 ユリウス・カエサルルビコン以降下」
スエトニウス著国原吉之助訳「ローマ皇帝伝上」
ワーナー「ROME」
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